この記事の要点
- 保険会社による治療費の打切りと、医学的な治療終了・症状固定は同じではありません。
- まず主治医へ、治療の必要性と今後の見込みを確認します。
- 保険会社の一括対応が終了しても、健康保険等を利用して治療を継続できる場合があります。
- 健康保険を利用するときは、原則として「第三者行為による傷病届」が必要です。
このページの目次
「治療費の打切り」とは
交通事故では、相手方の任意保険会社が医療機関へ治療費を直接支払う「一括対応」を行うことがあります。保険会社がいう治療費の打切りは、多くの場合、この直接払いを終了するという意味です。
保険会社の直接払いが終了したことと、医学的に治療が不要になったことは同じではありません。治療の必要性や症状固定の時期は、主治医の医学的な意見、治療経過、症状等を踏まえて検討する必要があります。
症状固定とは
症状固定とは、治療を続けても症状の大幅な改善が見込みにくくなった状態をいいます。単に事故から一定期間が経過しただけで自動的に症状固定になるわけではありません。
症状固定後に症状が残る場合は、後遺障害等級認定の申請を検討します。症状固定日を境に、損害の扱いが治療費・傷害慰謝料等から、後遺障害慰謝料・逸失利益等へ移るため、時期の判断は重要です。
打切りを告げられたときに確認すること
- 打切り予定日と理由
いつまで支払うのか、どの資料を根拠に判断したのか、保険会社へ確認します。 - 主治医の意見
現在の症状、治療の必要性、今後の見込み、症状固定の判断について主治医へ確認します。 - 診断書や意見書の提出
必要に応じて、治療継続の必要性が分かる診断書等を保険会社へ提出し、期間延長を交渉します。 - 弁護士費用特約
治療中の交渉についても特約を利用できる場合があります。
直接払いが終了した後も治療を続ける場合
主治医と相談したうえで治療を継続する場合は、健康保険を利用して窓口負担を抑える方法があります。交通事故でも、業務上・通勤災害などを除き、健康保険を利用できる場合があります。
第三者による交通事故で健康保険を利用する場合は、加入している協会けんぽ、健康保険組合または市区町村等へ連絡し、「第三者行為による傷病届」など必要書類を提出します。仕事中・通勤中の事故では、健康保険ではなく労災保険の対象となる可能性があるため、勤務先にも確認してください。
自己負担した治療費について後から相手方へ請求できるかは、治療の必要性・相当性や事故との因果関係等によります。支払った領収書、診療明細書、通院交通費の記録は保管してください。
避けたい対応
- 保険会社に言われただけで、主治医に相談せず通院を中断する
- 症状が続いているのに、診察時に具体的な症状を伝えない
- 健康保険への切替えや第三者行為届を確認しないまま放置する
- 領収書や診療明細書を捨てる
- 後遺障害診断書の準備をしないまま示談する
相談時にお持ちいただきたい資料
- 保険会社からの打切り通知、メール、担当者との会話メモ
- 診断書、診療明細書、検査結果
- 通院先・通院日が分かる資料
- 事故状況と症状経過をまとめたメモ
- 保険証券または保険契約が分かる画面
よくある質問
保険会社が支払わないなら、治療を続けても無駄ですか
保険会社の直接払いの終了だけで治療の必要性がなくなるわけではありません。まず主治医へ相談し、健康保険等を利用した継続と、将来の請求可能性を検討します。
治療費の支払いが終わると、すぐ後遺障害申請をするのですか
保険会社の支払終了日と症状固定日は必ずしも一致しません。主治医が症状固定と判断し、症状が残った段階で申請準備を進めるのが一般的です。
参考となる公的情報
最終更新日:2026年7月23日 執筆・監修:弁護士 北嶋太郎(静岡県弁護士会)
治療方針は医師へご相談ください。本記事は一般的な法的情報であり、個別の治療や支払いを保証するものではありません。

