示談書へ署名する前に確認してください
- 示談が成立すると、原則として後から追加請求することは難しくなります。
- 提示額だけでなく、各損害項目、計算根拠、過失割合を確認します。
- 後遺障害申請が必要な事案では、結果が出る前の示談に注意が必要です。
- 弁護士が入れば必ず増額するわけではありません。費用を含めた経済的利益を確認します。
このページの目次
保険会社から示談案が届いたら
示談案には、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料、後遺障害関係の損害などが記載されています。しかし、すべての損害項目が計上されているとは限らず、計算方法や資料の不足によって金額が変わることがあります。
「当社の基準です」と説明された場合でも、その金額に直ちに同意する必要はありません。示談書、免責証書、承諾書などへ署名・押印したり、電子的に同意したりする前に内容を確認してください。
確認したい主な項目
- 治療費・薬代
自己負担分や保険会社の支払終了後の治療費が漏れていないか。 - 通院交通費・付添費
公共交通機関、タクシー、自家用車等の利用について必要な資料が反映されているか。 - 休業損害
給与所得者だけでなく、事業所得者、会社役員、家事従事者等について適切に検討されているか。 - 入通院慰謝料
治療期間、実通院日数、傷害の内容に応じた計算になっているか。 - 後遺障害慰謝料
認定等級と事案に応じた金額が計上されているか。 - 逸失利益
基礎収入、労働能力喪失率、喪失期間等の計算が適切か。 - 過失相殺
過失割合とその根拠、控除される金額を確認する。 - 既払金・損益相殺
すでに支払われた金額や各種給付の控除が正しいか。 - 遅延損害金・弁護士費用相当額等
裁判手続を選択した場合に問題となり得る項目も含め、解決方法ごとの差を確認する。
「自賠責基準・保険会社の基準・裁判基準」の違い
交通事故の損害算定では、自賠責保険の支払基準、保険会社の内部的な算定、裁判例を踏まえた算定などが参照されます。どの基準を使えば常に一定額になるというものではなく、事故日、傷害内容、治療経過、後遺障害、収入、過失等によって変わります。
弁護士へ依頼した場合、裁判例を踏まえた金額を主張できることがありますが、証拠や個別事情により認められる範囲は異なります。
増額の可能性を検討できる例
- 入通院慰謝料の算定根拠が明確でない
- 休業損害が一部しか認められていない
- 家事従事者の休業損害が検討されていない
- 後遺障害の逸失利益について、基礎収入や期間に争いがある
- 過失割合の根拠となる事故状況が事実と異なる
- 将来の治療・介護・装具等の費用が問題となる
一方、提示額が相当である場合や、弁護士費用を考えると依頼による経済的利益が小さい場合もあります。その場合も含めて説明を受けることが大切です。
示談前に準備する資料
- 保険会社の示談案・計算書
- 診断書、後遺障害診断書、等級認定通知
- 源泉徴収票、給与明細、確定申告書、休業損害証明書
- 治療費・交通費等の領収書
- 事故状況図、写真、ドライブレコーダー
- 弁護士費用特約が分かる保険証券等
よくある質問
示談案に回答期限が書かれています
期限の理由を保険会社へ確認し、検討に必要な期間の延長を求めることが考えられます。消滅時効等の問題がある場合もあるため、長期間放置せず相談してください。
一部だけ先に支払ってもらえますか
既払金、仮渡金、自賠責保険への被害者請求などを検討できる場合があります。ただし、受領時に全面的な示談条項が含まれていないか確認が必要です。
参考となる公的情報
最終更新日:2026年7月23日 執筆・監修:弁護士 北嶋太郎(静岡県弁護士会)
示談金の増額や特定の結果を保証するものではありません。結果は個別の事情と証拠により異なります。

