交通事故の損害賠償問題を解決するには、加害者と「示談」する方法、「調停」や「ADR」を利用する方法、「訴訟」によって解決する方法があります。
以下ではこういった交通事故賠償問題の代表的な4つの解決方法について、弁護士が解説していきます。
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1.示談
示談とは、加害者や加害者の保険会社との「直接の話し合い」によって賠償問題を解決する方法です。賠償金の金額や支払い方法について、裁判所などの機関を通さずに被害者と加害者が話し合います。合意ができたら「示談書」を作成し、その内容に従って速やかに支払いを受けられます。
示談で解決できると比較的スピーディですし、費用もほとんどかかりません。
ただし示談が成立するには当事者双方が「合意」する必要があり、意見が合わなければ決裂します。
また相手が保険会社で被害者側には法的な知識が少ない場合、被害者側にとって不利な条件で示談してしまう例も少なくありません。
2.調停
調停は裁判所の関与のもとに当事者同士が話し合ってトラブルを解決する方法です。簡易裁判所で「調停委員」がもめている当事者の間に入り、両者の言い分を調整するので、自分たちだけでは解決できない事案でも合意できるケースがあります。
ただ調停では裁判所が結論を強制することができないので、最終的に当事者の意見がどうしても合わなければ決裂します。
3.ADR
ADRとは、裁判所ではない第三者機関がトラブルの調整をする手続きです。裁判外の紛争解決手続きと言われます。
交通事故に関するADRとしては「交通事故紛争処理センター」と「日弁連交通事故相談センター」のADRが有名で利用者数も多数です。
ADRでは、被害者と加害者との示談あっせん(話し合いの仲介)と、審査(ADRが損害賠償金額を決定すること)を利用できます。ただし審査を利用できるのは、加害者の保険会社や共済がADRと提携している場合のみです。
交通事故紛争処理センターは多くの保険会社、日弁連交通事故紛争処理センターは各種の共済と提携関係にあります。
審査によってADRが結論を下した場合、相手の保険会社や共済はその結論に拘束されますが、被害者は異議を述べて裁判を行うことが可能です。
4.訴訟
上記の3種類の手続きでは解決できなかった場合、訴訟によって解決を目指します。訴訟では裁判所が当事者の主張にもとづいて、損害賠償金の計算方法や金額を決定します。判決が下りると被告(加害者)に対して支払い命令が出ますので、相手は支払いをせねばなりません。判決に従わなければ被害者は加害者の資産を差し押さえて賠償金を回収することが可能です。
相手が保険会社や共済の場合、判決には従うので差押えの必要はありませんが、相手が加害者本人の場合にはそういった可能性もあります。
以上が交通事故の代表的な4種類の解決方法です。今後損害賠償請求を進める際の参考にしてみてください。