- 交通事故後、物忘れがひどくなった
- 事故後、仕事に集中出来なくなった
- 交通事故の後、本人が怒りっぽくなり、性格が変わった
- 事故があってから無気力な状態が続いている…
交通事故後、本人に上記のような変化があれば「高次脳機能障害」になっている可能性があります。以下では高次脳機能障害がどういった症状でどの程度の後遺障害等級が認定されるのか、ご説明していきます。
このページの目次
1.高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害とは、交通事故の外傷などによって脳が損傷を受け「認知機能」が低下・焼失する傷病です。症状の内容は認知症と似ています。
- 記憶力の低下
- 集中力の低下
- 計画を立てて行動できない
- 予定通り、言われた通りに行動できない
- 怒りっぽくなる、暴れる
- 無気力になる
- 当たり前にできていた日常の動作をできなくなる
- 言葉が出なくなる
- 右半分や左半分の視界にあるものを認識できなくなる
上記のような症状が典型です。
事故後高次脳機能障害となったら後遺障害として等級認定される可能性があります。
2.高次脳機能障害と認定されるための要件
高次脳機能障害と認定されるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 画像によって脳損傷を確認できる
MRIやCTなどにより、頭蓋骨骨折や脳出血などの脳損傷の他覚所見を確認できることが必要です。
- 事故後、一定期間における意識障害が発生した
事故後連続して6時間意識障害(昏睡や半昏睡状態)となった場合や、1週間以上健忘状態が継続した場合に意識障害が認められます。
- 人格変化、認知力低下など脳障害に典型的な精神症状が発生している
事故後、怒りっぽくなって人格が変わったりそれまで当たり前にできていた動作をできなくなったり記憶力・判断力・集中力が低下したりして、脳障害に典型的にみられる精神症状(異常傾向)がみられることが要件となります。
上記の3要件を満たす場合に高次脳機能障害と認定され、症状の程度に応じて後遺障害認定されます。
3.高次脳機能障害の認定等級
- 別表一 1級1号
神経系統の機能は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの - 別表一 2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
以下別表二
- 3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの - 5級2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの - 7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの - 9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
4.びまん性軸索損傷と高次脳機能障害
「びまん性軸索損傷」が原因で高次脳機能障害となった場合、上記の3要件のうち「画像による他覚所見」の立証が難しくなるケースがあります。びまん性軸索損傷ではMRIを使っても明確に他覚所見を得にくいからです。
対策としては、事故直後から継続的にMRIの撮影を続けることです。そうすれば、事故直後に発生する脳内の小さな出血や脳の変化(脳室拡大や脳萎縮)などを確認できて証明につなげられる可能性が高くなります。
高次脳機能障害で適切に後遺障害認定され、必要な補償を受けるには専門的な知識が必要です。お困りの際にはお早めに弁護士までご相談下さい。