死亡事故の損害賠償の種類

死亡事故では、ご遺族がご本人に代わって損害賠償請求を進める必要があります。

その際、どんな損害賠償ができるのか分からない方も多いでしょう。

今回は死亡事故の損害賠償の種類について、弁護士が解説していきます。

 

1.葬儀費用

交通事故で被害者が死亡すると、通常は遺族が葬儀を行います。葬儀費用は交通事故によって発生した損害と考えられており、加害者へと請求できます。内容的には火葬料、埋葬料、法名代、読経代、お布施、花代、通信費、葬儀社への支払い、49日までの法要代などが認められます。仏壇仏具の購入費用やお墓の建立代も一部認められる可能性があります。

実際にかかった金額(実費)を請求できるので、葬儀社などへ支払った際の領収証はとっておきましょう。ただしお寺の住職などへ払ったお金については領収証がなくてもかまいません。

弁護士基準の場合、だいたい150万円が限度となりますが、合理的な必要性があれば200万円以上の葬儀関係費用が支払われるケースもあります。

 

2.死亡逸失利益

死亡逸失利益は、被害者が死亡したことにより、将来得られなくなった収入です。

死亡すると一切働けなくなるので、事故後得られるはずだった収入を得られなくなって損害が発生します。

ただし死亡すると被害者の生活費がかからなくなるので、その分は逸失利益計算の際に控除します。これを「生活費控除」と言います。生活費控除率の数字は被扶養者の有無や人数、既婚か独身か、男女によって異なりますが、30~50%程度です。

死亡逸失利益の計算式は以下の通りです。

  • 死亡逸失利益=事故前の基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

事故前の基礎収入が高いと高額になります。

たとえば事故当時30歳で年収500万円、妻と子どもがいた方の死亡逸失利益の金額は、以下の通りです。

500万円×(1-30%)×16.711=5848万8500円

 

3.死亡慰謝料

死亡慰謝料は、被害者が死亡したことによって受ける精神的苦痛に対する慰謝料です。

死亡慰謝料の金額は、被害者に被扶養者がいたかどうかで異なります。

被扶養者がいる一家の大黒柱なら2800万円程度、配偶者や母親なら2500万円程度、それ以外の独身者などの場合には2000~2500万円程度です。

 

4.適切な賠償金を受け取るには弁護士のサポートが必要

死亡事故の場合、損害額が大きくなって1億円やそれ以上になるケースも珍しくはありません。しかし遺族が自分たちだけで損害賠償請求を行うと不利になり、本来支払われるべき金額が支払われない可能性が高くなります。

たとえば保険会社は死亡慰謝料を法的基準よりも大きく減額してきますし、被害者の過失割合を過大にされるケースも少なくありません。

被害者が適切に権利を実現するには法的な知識とスキルを持った弁護士によるサポートが必要です。死亡事故で損害賠償請求を進められるなら、弁護士までご相談下さい。

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