この記事の要点
- 保険会社から提示された過失割合は、最終決定ではありません。
- 事故類型ごとの基本割合だけでなく、信号、速度、位置関係などの個別事情を検討します。
- ドライブレコーダーや防犯カメラの映像は、消去される前に早く確保することが重要です。
- 過失割合に合意する前に、提示の根拠と証拠を確認します。
このページの目次
過失割合とは
過失割合とは、交通事故の発生について当事者それぞれにどの程度の注意義務違反があったかを割合で示したものです。被害者側にも過失がある場合、その割合に応じて相手方へ請求できる損害額が減額されることがあります。これを過失相殺といいます。
たとえば、損害額が1,000万円で被害者側の過失が20%とされた場合、過失相殺後の請求額は原則として800万円となります。ただし、人身傷害保険などご自身の保険から受けられる補償との関係は、契約内容によって異なります。
保険会社の提示は「決定」ではありません
相手方保険会社は、事故状況についての当事者の説明や保有資料をもとに過失割合を提示します。しかし、その提示に同意しなければならないわけではありません。最終的には、当事者間の合意、交通事故紛争処理センターなどの手続、または裁判によって定まります。
警察は事故状況を捜査・記録しますが、民事上の過失割合を最終決定する機関ではありません。
過失割合はどのように検討するのか
実務では、過去の裁判例等を整理した事故類型別の基準を参考にして基本割合を考え、個別事情に応じて修正します。
確認されることが多い事情には、次のようなものがあります。
- 信号の表示、道路標識、一時停止規制
- 直進、右左折、進路変更など当事者の動き
- 衝突地点、車両の停止位置、道路の幅
- 速度超過、合図の有無、前方不注視
- 夜間、見通し、雨天など道路・周辺環境
- 歩行者や自転車、児童、高齢者などの事情
- 車両の損傷箇所と衝突方向
早めに確保したい証拠
- ドライブレコーダー
上書きされる前に元データを保存します。事故前後の時間を含めて保全してください。 - 防犯カメラ・店舗カメラ
保存期間が短いことがあります。設置者へ早めに保全を依頼します。 - 事故現場と車両の写真
道路全体、標識、見通し、衝突箇所、破損状況が分かる写真を残します。 - 警察関係の資料
交通事故証明書、実況見分調書、供述調書、物件事故報告書など、事案に応じて取得・確認を検討します。 - 目撃者と事故直後の記録
目撃者の連絡先、相手方とのやり取り、事故直後に作成したメモを保存します。 - 修理見積書・車両写真
損傷位置から衝突態様を検討できることがあります。
提示された過失割合に納得できないときの手順
- まだ過失割合への同意や示談をしない
- 保険会社へ、事故類型、基本割合、修正要素など提示根拠を確認する
- 自分の説明と相手方の説明の相違点を整理する
- ドライブレコーダー等の証拠を確保する
- 弁護士費用特約の有無を確認する
- 損害額への影響を計算したうえで、交渉・手続の選択を検討する
相談時にお持ちいただきたい資料
- 保険会社から届いた過失割合の資料
- 事故状況図、現場・車両写真
- ドライブレコーダーのデータ
- 交通事故証明書
- 修理見積書、車検証
- 相手方や保険会社とのメール・書面
よくある質問
保険会社から「この割合が判例上の基準です」と言われました
同じように見える事故でも、信号、速度、衝突位置などにより適用する事故類型や修正要素が変わります。どの基準のどの図を使い、どの事情を加減したのか確認する必要があります。
物損だけでも過失割合を相談できますか
ご相談いただけます。弁護士費用特約を利用できる場合は、損害額が比較的小さい物損事件でも依頼を検討しやすくなります。
参考となる公的情報
最終更新日:2026年7月23日 執筆・監修:弁護士 北嶋太郎(静岡県弁護士会)
本記事は一般的な情報です。具体的な過失割合は事故状況と証拠により異なります。

